ドラ校長の広場

ドラえもんが大好きな校長のブログです。

シンポジウム2日目 《 被災地見学 (岩沼市)》

 昨晩泊まらせていただいたのは、日本三景で有名なf:id:nanyoko-koutyou:20150125200745j:plain松島のホテル壮観というところでした。海のすぐ近くだったので、津波の被害も相当大きかったんだろうなと思って尋ねてみたのですが、松島は島が多く点在しているので、島で津波の威力が消されたような状況になったそうです。ですので、沿岸沿いでも被害の少ないところだそうです。写真でも少し沖合に見えていますね。

 ホテルからバスに乗って向かったのは、阿武隈川沿いの岩沼市です。昔からこの阿武隈川が氾濫したりしながら運んできた土で平らな平野(仙南平野)を形成したようで本当に広くて平らな土地形状です。今回の津波で市の半分近くが浸水したそうです。水田が多く、昔から稲作が盛んだったようです。岩沼市民会館で今回の見学をさせていただく玉浦西まちづくり住民協議会の役員さんと中央大学理工学部の石川教授、東京大学学術支援専門職員の方、岩沼市建設部長さんと合流し、被災地の見学に向かいました。

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玉浦西地区というのは、津波の被害が大きかった新浜、蒲崎、長谷釜、二野倉、藤曽根、相野釜の6つの地区が集団移転をするところです。この6つの地区は貞山堀(江戸時代に伊達政宗によって掘削が始まった運河)の東側の砂丘の上にありました。昔から砂や潮風、高潮の被害が大きかったので、防災のために植林が試みられていたそうです。昭和8年の昭和三陸地震津波後に岩手県南部から宮城県南部まで広大な海岸林がありました。私たちはバスでその松林のあったところに行きました。写真の通り、ほとんどの松は津波で倒され、根から引き抜かれたりして、内陸部まで流されていきました。協議会の人の話では、その松が家などを壊していったということです。

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 住宅がほとんど無い中で、長谷釜地区ではひときわごつい銀杏の木と神社が残されていました。神明神社と奇跡のイチョウです。案内してくださった方が「神様はこの場所が大丈夫と知っていたんでしょうかねえ?」とおっしゃっておられました。

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これら6つの地区は国に買い上げてもらって、皆さんは集団で移転することを決められたのです。津波で流された時にはがれきの山でしたが、今はもう撤去され何もないところを歩きました。家屋の土台のコンクリートだけが残っていました。

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次に「千年希望の丘」という所に行きました。この場所は、東日本大震災の慰霊碑があり、人という漢字をかたどったモニュメントもあります。今日見学している4校の代表者による献花と全員で黙祷を捧げました。

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千年先の子どもたちに伝えたい!という強う気持ちが表れています。

「命を守ること」千年希望の丘を避難場所や津波の力を弱め、命を守るため。

「大震災を伝える」震災廃棄物を利用して作っています。防災教育の場です。

「自然との共生」みどりの堤防として樹木を植えて丘をつなぐ。

「みんなでつくる」復興のシンボルとしてみんなで作ります。

下のような丘を15基作り、それらをつなぐ予定だそうです。また避難場所としての様々な工夫も取り入れているそうです。

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さいごに、玉浦西地区の復興住宅を見学させていただきました。この地区には先ほどの6つの地区から約300戸が集団で移転してくるそうです。もう、引っ越しも始まり住み始めています。このまちづくりは、今日ご案内いただいた6つの地区の代表者と学識者で構成した検討委員会で検討されたそうです。

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 いろいろな工夫がされていて、地域の人の顔が見えるまちが作られていました。

ブログでは十分に伝えられなかったのですが、こつこつと復興の道を歩んで来られた方々のお話を聞くことができたのは、子どもたちにとってはもちろんですが、私たちにとってもたいへん良い機会となりました。機会とはこの思いを学校へ持ち帰り、学校や地域で復興への支援を呼びかけることだと思っています。代表の4人と引率の2人が力を合わせて伝えていきます。